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新しいマーケティングと”Growth Hacker”

“Growth Hacker”というのが、シリコンバレー界隈(?)でバズワード化しているようだ。

色々調べていたら、日本語でキュレーションしてあって一番まとまっているのはこれかな。

次の流行り言葉は『Growth Hacker』っぽいのでちょっと調べてみた
http://www.ideaxidea.com/archives/2012/07/growth_hacker.html

去年、JOI ITOとPivotal Tracker作った人の話を聞く機会があって、

「向こうでは、デザイナーもマーケターも、バリバリにSQL(データベースソフト)叩くんだZE!」

って言ってて、「ポカーン」だったのだけど、最近では「マーケティング」的な意味付けをされ、かっこいい言葉を与えられ、コンセプトとして固まり、スタートアップ界隈では膾炙されつつあるようだ。

*昔こんなブログを描いたことがあった
「不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-」

この営みをどう捉えるかは、立場によって異なるようで、”Marketing is dead”と、全く新しいことであるように解釈する人もいれば、「マーケターはコードも書けなきゃダメだよね」と、既存スキルの拡大と捉える人もいる。

(まあ、”Ad is dead” “PR is dead”、最近では”social is dead”?みたいな表現は、「ボクの記事を読んでね!」くらいの、冒頭の挨拶だと思うが、顧客を獲得するという意味そのものの定義からすれば、マーケティングやPRの目的の範疇ではある。あえて新しい言葉を与えることの効果はまた別の話。)

さて、Growth Hackerの何が面白いのかと言えば、「進め方の心構え」だと思う。今までのマーケティング「マインド」とは全然別物なのだ。(哲学のジャーゴンでは、端的に「精神」と言ったりする)

「小さく初めて、必ずデータで評価して、上手く言ったものにリソースを投下する」

という、最近のIT業界ではお馴染みのコンセプトなのだけど、いやいや、やっぱりマーケティングやPRの領域に援用すると、色々な問題がある。

Growth Hackerのキモは「Data Driven」なんだけど、データ分析は今まででも特にリサーチ業界ではゴリゴリにやっていた。
が、「デザイン」や「キャッチコピー」など、「クリエイティブ」な領域にデータ分析がガンガンにミサイルを打ち込んで「領海侵犯」しているのがGrowth Hackerの特筆すべき「面白さ」なんである。

「クリエイティブ」な領域は、「人間の神秘」みたいなもので、、、クリエイティブを3案作ってどれが良いかなんて、代理店文化では、「経験のあるエライ人」か「クライアント」が決めてしまうのだ。資本主義では金持っている人が意思決定する(=リスクを取る)のは当然なのだが、問題は、それに関わる人達が持つ「共通の前提」にある。

これは、私が代理店にいたときに感じていた違和感のひとつでもあるのだけど、例えば「Facebookは、こうやればうまくいくんです!」という「話し方」であり、いついかなる状況でも、唯一の正解がある、という「前提」だ。当然クライアントからもその態度で接することを求められるし、「正解を、解法を分かっているフリをして提案」をしていた。

デザイン業界は、もっと露骨ではないかと思う。「デザインの真髄」を「知っている」人に、アドバイザー費として巨額の報酬を支払うことが正当化される。もっとも、それが本当にビジネス上のインパクトをもたらすのか、短期的には分からないことが多く(とは言え「コンペ」は行われる)、提案する側は、いきおいBIOやケーススタディ、受賞歴やメディア掲載記事を並べて「私達はあなたよりも、競合よりも正解に近いんです」という、「装飾」にコストをかけることが当たり前になる。

さて、社会学のアイデアから援用して、こうした態度、言葉遣いに「真理の言葉」を当てはめるのが適当ではないかと思う。それに対するのが、「機能の言葉」だ。

「真理の言葉」とは、認識を通じて「森羅万象の本質や抽象的普遍へと到達する」ことをめざす目的プログラムである。「機能の言葉」とは、「与えられた環境で最適化・満足化をめざすなら、こうせよ」と仮言命令を発するif-then文的な条件プログラムである。
東浩紀がかつて論じた通り、「真理の言葉」は、中世ヨーロッパの大学に、従ってイスラムやギリシアの学問に遡る自由学芸(リベラルアート)の伝統であり、「機能の言葉」は、一八世紀末の産業革命以降に展開する制御の学(エンジニアリング)の伝統である。 社会学からの全体性の脱落に抗して、いま何が必要なのか 宮台真司

「僕たちは、誰よりもFacebookのことを研究して事例もあるので、よくわかっています。その結果、”人間味”を出すことが大切です」

というのが、「真理の言葉」の典型的な「言い方」だ。「真理の言葉」は「啓蒙の言葉」であり、「権威の言葉」だ。

Growth Hackerは、そうした「言い方」を、片っ端からぶった切る。「機能の言葉」は「if-then」的な条件プログラムであり、

「検索連動広告のコピーをA/Bテストした結果、A案が25%クリックされました」

の、終わりなき蓄積。「真理の言葉」に慣れている人からすれば、あまりにも些細。しかも、今まで「分かっている前提」を疑う必要があるから、特に「知っている」ことにされている人からすれば、とても気持ちが悪いことだ。

(蛇足だけど、この問題と全く同じ構造が「データ・ジャーナリズム」にも見える。ジャーナリストの藤代さんが「今までのジャーナリズムは自白強要型ジャーナリズム。当事者は”真実”を知っている、という前提。しかし、複雑な社会で、本当に政治家や官僚が語る”真実”が、社会を良くするのだろうか?」と問題定義をしていた。)

これは、「人間の創造性が死んだ」とか「経験が役に立たない」とか、そういう話ではなく、創造性と科学の意味付けを変えよ、ということなのだと思う。

(長くなったので、具体的な話はまた次回。。。)

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Posted By nshoji

2 Responses to “新しいマーケティングと”Growth Hacker””

  1. Shoji Miyata より:

    件のイベント以降、"Growth Hacker" がバズワード化しそうでイヤーな感じの昨今。これは良記事。/新しいマーケティングと”Growth Hacker”http://t.co/JqNEZ7h4 http://t.co/Yur4gbZQ

  2. t.okabe より:

    「向こうでは、デザイナーもマーケターも、バリバリにSQL(データベースソフト)叩くんだZE!」//新しいマーケティングと”Growth Hacker”http://t.co/yK7TSkLS http://t.co/YC16JZR6

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