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不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-

MIT Media Lab新所長、伊藤穰一とPivotalのCTO,Ian McFarlandが語る「アジャイルスタートアップ」に参加してきた。

初めて「アジャイルソフトウェア開発」という言葉を聞いたのは、5年前にリクルートでR25式モバイルプロジェクトに関わっているときだった。(今にして思えば極めてアジャイル的な方法で開発されたプロジェクトだった) また、このブログで度々紹介する江渡 浩一郎先生の名著「パターン、Wiki、XP」を通じて、何となく知っているつもりになっていたのだけど、今日JOI ITOとIan McFarlandの話を直接聞く事ができ、より理解を深めることができた。
そして「アジャイル開発」は単純にソフトウェアだけに当てはまる問題ではなく、我々コミュニケーションに携わる者にとっても示唆に富むものだということを確信した。(セッションの後、Ianにそのことを直接訪ねたら全く同意してくれた!)

・アジャイル開発とは
JOI ITOによれば、

基本的な方向性だけ決めるが、いつまでに何ができるか分からない

開発方針だという。普通は全く逆だ。長い時間をかけてリサーチをし、設計をし、見積もりをし、稟議を回して期間までに開発を終わらせる。
一方でアジャイルでは、1週間、2週間単位で方向性だけ決めるものの、そのときの状況の変化によって常に方向転換(Pivot)する。

だから、必然的に一つひとつの開発単位は小さくなるし、ある期限までに何かを必ず終わらせる、という発想がなくなってしまう。
一週間作って皆で持ち寄って、今後の方向性をその都度議論して決めていく方法がアジャイル開発だ。

・不確実性を受け入れる姿勢
自分が最も共感できる部分は、「アジャイル開発」という姿勢が世の中の不確実性を受け入れている、ということに尽きる。
一方で特に(PRや広告を含む)伝統的な業界においては「未来はある程度予測可能」という前提の元、全てが進められている。そして未来を予測できるのは、最も経験と権威がある人であり、多くの決定事項はその人の意向に従う。

しかし、一年後の消費者に受け入れられる、というのは本当だろうか。なぜそれが分かるのだろうか。

JOIやIanが最後に強調していたのは正にこの点だった。
過去の経験や勘や不完全なリサーチにより、あたかも一年後の成功が約束されたかのごとく、物事が進められて行く。しかしそれは人間の能力を過信しているということであり、成功も失敗も「偶然」の産物に過ぎない。アジャイルが約束できるのは、形はどうあれ一年後は消費者の役に立っている、ということだけだ。
いずれにせよ、「一年後の事は分かりません」と宣言するのはとても勇気がいる。「分かりませんが、とにかく役には立っているはずです」とクライアントに提案するのは、とても難しい。これは単に担当者だけの問題ではなく、業界全体の問題だ。

JOIが話してくれたYouTubeのエピソードが大変印象的だった。最初YouTubeは、「動画付き出会い系サイト」として設計されたものだという。ユーザーに支持されないことが分かると、それから「動画付きFlickr」のような方向性が生まれ、今の形に落ち着いたという。
ここで、YouTubeの成功の原因を、創業者のビジョンや直感に求めるのは間違いだ。彼らがしてきたことは、ただユーザーの指示する方向に、向きを変えながら(Pivot)進んできたということだ。

・テスト指向、データ指向
Ianは、「アイデアを思いついたら、それをテストするための最も安くシンプルな方法を考える」と言う。

ひとつのアイデアに固執することは危険であるし、ときに「捨て去る勇気」を持て、という。

彼はPR関係者にもメッセージをくれた。

「ひとつのCoolなメッセージを思いついたら、更に9個考えて、テストすべきだ。どのひとつが支持されるか分かる人間は存在しない

ところで、進むべき方向を、消費者がいつも直接教えてくれるとは限らない。だからデータが必要だ。
ソーシャルゲーム企業のZingaでは、プロダクトデザイナーもデザインの傍ら、直接データベースを叩いているという。データに隠されたパターンを見る事で、自らのデザインを常に検証しているようだ。デザイン=アートの領域と、データ=科学の領域が、きちんと補完することが重要だという。
デザイナーでありながらデータベースも扱う。PRパーソンがデータベースを扱っては行けない理由は何だろうか?

最後に、この手のイベントに出席するといつも思うことだけど、ソフトウェア産業から学べる事は本当に多くあると思う。イノベーションの源泉だ。
そんな訳で、その片鱗だけでも吸収すべく、コミュニケーション業界人のためのプログラミング勉強会を企画している。
ソーシャルメディアの運用・解析ツールを作っているGroovyMediaの創業者の渡邊さんが、快く講師を引き受けてくれた。根っからのプログラマであると同時に、大学では文系を先攻、顧客は我々コミュニケーション業界人ということで、最高の講師だと思う。

今、会場や日程、内容を詰めているところですが、改めてこのブログやFacebookでお知らせします。

(追記) 憧れの人だったJOI ITOはやっぱり素敵な人だった!!

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Posted By nshoji

10 Responses to “不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-”

  1. JOI ITOのお話は、やっぱり刺激に満ちたものだった! ブログ更新「不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-」http://ow.ly/54rs7

  2. mkbc3000 より:

    JOI ITOのお話は、やっぱり刺激に満ちたものだった! ブログ更新「不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-」http://ow.ly/54rs7

  3. なるほど。 RT @nshoji: JOI ITOのお話は、やっぱり刺激に満ちたものだった! ブログ更新「不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-」http://ow.ly/54rs7

  4. knakata より:

    いいね!今度詳しく教えてください。RT @nshoji: JOI ITOのお話は、やっぱり刺激に満ちたものだった! ブログ更新「不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発-」http://ow.ly/54rs7

  5. RT @nshoji: 不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発- http://t.co/VHF9Loc

  6. Naoki Hayashi より:

    「アジャイルでは、1週間、2週間単位で方向性だけ決めるものの、そのときの状況の変化によって常に方向転換(Pivot)する。」 / 不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発- nshoji.com | nshoji.com http://htn.to/FNGBFc

  7. 加勇田雄介 より:

    不確実であることを受け入れ、テスト思考を取り入れる。youtubeの設計思想然り / 不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発- nshoji.com | nshoji.com http://htn.to/aAqrcg

  8. 加勇田雄介 より:

    開発に携わって、改めて強く感じること。そして、だからこそイズムが必要→不確実性を受け入れる勇気 -PRとアジャイル開発- http://t.co/L6gX92t

  9. FUJISAKI MINORU より:

    ◎不確実性を受け入れる勇気」アジャイル開発とは基本的な方向性だけ決めるが、いつまでに何ができるか分からない開発方針の事 http://t.co/Q1A20NCz

  10. FUJISAKI MINORU より:

    ◎「不確実性を受け入れる勇気」アジャイル開発とは基本的な方向性だけ決めるが、いつまでに何ができるか分からない開発方針の事 http://t.co/Q1A20NCz

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